【天地創造】 (創世記1章1節)
                         牧師 熊谷徹
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T.「初めに、神が天と地を創造した」(SKY)…聖書冒頭の言葉である。
短く、厳粛で、実に奥の深い言葉である。新島襄がそうであったように、
人はこの言葉だけでも、万物の創造者なる神の存在を知ることができるだ
ろう。
 この聖句を原文の順番通りに訳すとこうなる;
「初めに、創造した、神が、天を、そして、地を」。

 原文では、「初めに」はブレーシース(br'syt)、「創造した」はバー
ラー(br')である。それぞれの最初の3文字(br')は全く同じである。
即ち、聖書の冒頭は高尚な語呂合わせで始まるのである。このことを生か
した翻訳をするならば、 「創始(はじめ)に神、天地を創造せり」(TK)
とでも訳せるであろう。このように「創始」と「創造」とを緊密に結び合
わせることによって、「創始(はじめ)に創造ありき!」ということを強
調しているのである。世界と万物の存在の初めにあったもの、それは神に
よる創造であった。神による無からの創造がなければ『はじめ』もなかっ
たし、何も存在しえなかったのである。全ての存在の『創始(はじめ)』
に『創造』ありき!

 神が創造した「地」は現代の私達の言葉で言えば地球であり、「天」は
宇宙である。宇宙は宏大無限で完壁なまでに調和のある世界である。その
宇宙について物理学者のアインシュタインは言った、「私はこのような宇
宙を造った方の存在を信じる」と。

U.「あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ」と聖書は告げる
(伝道者12:1)。天と地を創造された偉大な神が「あなたの創造者なの
だ」と言うのである。壮大な宇宙を造り、時間・空間・物質を造った永遠
なる神、創造者なる神が、「あなたの創造者」なのである。この神を「あ
なたの」神として心に「覚える」、そうする時、あなたの心に天地創造に
匹敵するような新しい「創造」の御業がなされるだろう。
 新しい創造、それは、創世記1章2節以下に記されるような、混沌(カオ
ス)から秩序(コスモス)への転換、「夕べから朝へ」(1:5)という前
進、闇から光への転換である。「すべてよし!」(1:31)という神の御声
に励まされて歩む新しい人生の創造である。天地を創造された大いなる神
は、また、あなたの人生の創造者なのである。
     (2003年3月16日礼拝説教より)*[SKY:新改訳.TK:私訳]