【終戦の日に寄せて】(イザヤ書2章4節)

                                     
牧師 熊谷徹
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8月15日は「終戦の日」です。この時期になると私は思い出したようにある音楽に耳を傾けます。団伊玖磨作曲・交響曲第6番「HIROSIMA」という曲です。その最終楽章でソプラノ歌手がイギリスの詩人ブランデンの詩を歌います;「ヒロシマよりも誇らしき名を持つ町は世にあらず、君は平和の鳩の巣よ。をちこちびとはここに来て、よみがえりたる人類の輝く姿見るらむか」(寿岳文章訳)。ブランデンは、原爆の悲劇から立ち上がった町ヒロシマに対する畏敬の念を込めて;そして、ヒロシマが人類にとっていつまでも「平和の鳩の巣」であって欲しいとの願いを込めて、この詩を作ったのです。もう二度とあの悲劇を繰り返してはならないのだ!と。

イザヤ書2章4節に、終末の日の平和を預言した御言葉が記されています;「
主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない」。

人類の歴史は戦争に明け暮れて来た歴史でした。悲惨な戦争を繰り返して、戦争の愚かさと狂気を学んだはずです。それなのに今もなお「国は国に向かって剣を上げ」ています。世界のどこかで戦争が繰り広げられています。第二次世界大戦が終わって63年・・・。現在までのところ第三次世界大戦の起こる気配はなさそうに見えますが、絶対に起きないとは誰にも言えません。もし世界大戦争が起きたなら、第二次世界大戦の時とは比較にならない程の大きな被害が起きるでしょう。現在の原爆はヒロシマ型の何十倍もの威力があると言われます。もし一発でも炸裂したら、子供であろうが女性であろうが無差別に、何百万もの命が一瞬のうちに奪われてしまうのです。もし世界大戦が勃発し、どこかの国が核兵器を使ったとしたら、人類は破滅するでしょう。そういう危険な時代に私達は生きているのです。「
剣を鋤に、槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない」と言える日が来ることを信じて、平和のために祈りましょう。

終戦の日が来るたびに、改めて戦争の愚かさと罪を深く心に刻み、平和のために祈り、平和を作るために何かをしなければいけないとの思いを新たにされます。キリストは言われます;「
平和を作る者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるから」(マタイの福音書5章9節)。                                  ◇
                      −茅ヶ崎同盟教会月報 2008年8月号より−