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「これが戦争の結果:亡くなった弟を背負い,火葬の順番を待つ少年。少年の悲しみはかみしめられて血のにじんだ唇に表れている。」
ローマ法王
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昨年末,カトリック教会のフランシスコ法王が,写真入りのカードに上記メッセージを添えて教会関係者に配布したことを新聞記事で知りました(2018年1月3日朝日新聞)。写真は1945年に原爆投下直後の長崎で撮影されたもので,十歳ぐらいの少年がおんぶ紐で幼子を背負って立っているものです。
「核なき世界」を訴える法王の強い意志が伝わっできます。
撮影したのは米軍の従軍カメラマンであったショー・オダネル氏。「焼き場にたつ少年」と題するその写真についてオダネル氏はこう回想しています。
「少年は焼き場のふちまで来ると,硬い表情で目を凝らして立ち尽くしています。・‥白いマスクの男たちがおもむろに近づいて赤ん坊を受け取り,ゆっくりと葬るように,焼き場の熱い灰の上に横たえました。…まばゆいほどの炎がさっと舞い上がり,…直立不動の少年のまだあどけない頬を赤く照らしました。その時です。炎を食い入るように見つめる少年の唇に血がにじんでいるのに気付いたのは。少年があまりきつくかみ締めているため,血は流れることもなくただ少年の下唇に赤くにじんでいました。」(『神様のファインダー』いのちのことば社,2017年)
今も世界のどこかで,過酷な苦しみ,悲惨が繰り返されています。「悪をもって悪に報いず,侮辱をもって侮辱に報いず,かえって祝福を与える」歩みを求めたいと思います。新しい年,平和を追い求める思いが私たちの心に日々与えられますように。
牧師 山村 諭
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