Nature Research
注目の最新論文
 
Research Picksでは、近年創刊したネイチャー・ポートフォリオの出版誌に出版された最新の論文の中から、世界的に話題となった論文や日本からの論文をご紹介します。毎号、掲載されるジャーナルは様々です。
 
Nature Cancer
© Soren Charmsaz, Nicole Gross, and Won Jin Ho (Johns Hopkins University School of Medicine, Baltimore, MD, USA). Cover Design: Allen Beattie.
 
Article | 29 July 2021
ネオアジュバントのカボザンチニブとニボルマブは、抗腫瘍免疫を増強して進行性肝細胞がんを局所的に切除可能がんへと変換する
Yarchoanたちは、肝細胞がん患者に対するカボザンチニブと免疫チェックポイント阻害の単群第I相臨床試験について報告している。彼らは高次元空間解析を行い、応答例で濃縮された免疫特性を明らかにした。
 
Nature Computational Science
 
Article | 22 September 2021
推論をシミュレートする説明可能なニューラルネットワーク
著者らはニューラルシステムが認知機能を符号化する方法を実証し、提案したモデルを用いて、説明可能で、記号推論とドメイン一般化が可能な、ロバストでスケーラブルな深層ニューラルネットワークを訓練する。
 
 
Article | 22 September 202 | Open Access
深層拡散MRIトラクトメトリーを用いた個人の微細構造異常の検出
著者らは拡散磁気共鳴画像トラクトメトリーデータのためのブラウザベースの異常検出フレームワーク「Detect」を提案する。このツールは、深層オートエンコーダーを用いて健康な実験参加者から得た脳微細構造の規範的特徴を利用し、個人レベルで異常を検出する。
 
Nature Aging
 
Article | 13 September 2021 | OPEN
クエン酸担体の分解によるクロマチンリモデリングは、老化した間葉系幹細胞の骨形成を悪化させる
老化した間葉系幹細胞(MSC)では骨形成の低下が見られる。Pouikliたちは今回、MSCの異常な分化とヒストンの低アセチル化のつながりを明らかにした。これはクエン酸担体Slc25a1のリソソームでの分解が亢進されることで、ミトコンドリアからのアセチルCoA 輸送が低下するために起こる。ヒストンアセチル化を若齢の状態に回復させると、骨形成が救済された。
 
Article | 13 September 2021
ヒトの寿命と加齢関連疾患に対する保護に関連したコーディング遺伝子のまれなバリアント
これまでで最大の百寿者コホートにおける今回の全エキソーム塩基配列研究で、Linたちは、保存された経路(例えばIISやAMPKシグナル伝達経路)が、線虫やハエ、マウスと同様に、ヒトでも寿命や健康老化に関連していることを示している。
 
Nature Food
 
Article | 13 September 2021
全世界の動物性食料由来の温室効果ガス排出量は植物性食品由来の排出量の2倍である
食料の生産と消費に関連する温室効果ガス排出量の定量化では、部門間の一貫性のある空間データをどの程度利用できるかが、依然として大きな障害となっている。本稿では、植物性食料と動物性食料に関連する土地利用の変化、農地、家畜、農場以外での活動に由来する排出量について詳細に報告する。これは、主要なそれぞれの農産物から地域的、国家的、世界的レベルの排出量を算出したものである。
 
Article | 15 September 2021
複合的な気候リスクは水産食品システムによる利益を脅かす
栄養と経済、生活に対する水産食品システムの貢献は、気候変動によって脅かされている。気候変動に対するレジリエンスを構築するには、社会的脆弱性を軽減する体系的な介入が必要である。
 
Nature Communications
 
Article | 22 Sep 2021 | OPEN
SARS-CoV-2に対する強力なナノボディは、シリアンゴールデンハムスターモデルにおいて治療効果を示す
中和活性を持つナノボディ(Nb)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、大きな関心を集めている。著者たちは今回、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに対して高い親和性で結合するNbの機能解析と構造解析を行なった。また、改変したホモ三量体NbをCOVID-19のシリアンハムスターモデルに鼻腔内投与すると、疾患の進行が抑制されることを示している。
 
Article | 14 Sep 2021 | OPEN
白亜紀-古第三紀の大量絶滅におけるヘビの進化と分散
ヘビは、現生脊椎動物の中で最も成功したグループの1つであるが、その多様化の時期は分かっていない。Kleinたちは、分子時計、化石、生物地理学を組み合わせて、ヘビは白亜紀末の大量絶滅の頃に多様化し、分散したことを示している。
 
Communications Medicine
 
Article | 09 Sep 2021 | OPEN
COVID-19ワクチン接種を受け入れる意思に関する世界的な探索的研究
de Figueiredoたちは、32か国を対象とした調査に基づき、COVID-19ワクチン接種の容認とその決定要因を推定するための世界的な探索的研究を行った。ワクチン容認の増加に関連する要因は、一部の例外はあるが、男性、65歳以上、高学歴、政府がパンデミックにうまく対処しているという信頼であることが分かった。
 
Article | 17 Sep 2021 | OPEN
SARS-CoV-2感染に対する抗体応答は症状を示した患者では少なくとも8か月間持続する
LeviとUbaldiたちは、イタリア北部の医療従事者4735人からなるコホートにおいて重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の血清有病率を評価した。血清陽性者では、8~10か月間にわたって抗体が維持されること、この期間における抗体レベルの変化は症状の有無や特定の参加者サブグループと関連していることが分かった。
 
Communications Earth & Environment
 
Article | 03 Sep 2021 | OPEN
スマトラ島のトバ・カルデラの再噴火の始まりと高温のマグマの冷たい殻による準固化噴火
スマトラ島のトバ・カルデラで、7万4千年前の破局的噴火に引き続いて起きたカルデラ形成後の噴火は、高温のマグマ貯留層の温度の低い領域の試料を含んでおり、その不均質性を示唆していると、熱年代学とベイズ統計を組み合わせた分析が示している。
 
 
Article | 29 Sep 2021 | Open Access
姶良カルデラの爆発的なカルデラ形成噴火におけるマグマだまりの減圧
3万年前に日本の姶良火山噴火で起きたプリニー式噴火初期にマグマだまりで相当量の減圧が起きたことで、大きな地殻変動とカルデラ崩壊が生じたと、石英のくぼみの水含有量を分析した結果が示している。
 
Communications Chemistry
 
Article | 17 Sep 2021 | OPEN
核エネルギーによって駆動される有機廃棄物から再生可能燃料添加剤の生成
有用化学品の持続可能な生産に向けた現在の傾向は、核エネルギーと化学工業の組み合わせにある。本論文では、γ放射線を用いてグリセロール(バイオ精製所の廃棄物)を高価値化合物ソルケタールに変換することが提案されている。
 
 
Article | 27 Sep 2021 | Open Access
安定保存可能な付加体からフラストレイテッド・カルベン–ボラン対の熱誘起再生を仲介するホウ素移動機構
フラストレイテッド・ルイス対は古典的なスイス付加体から熱的に再生できるが、その再生機構はよくわかっていない。本論文では、実験と理論を組み合わせた研究によって、ホウ素ジャンピングと動的コンフォメーション異性化を介する経路が支持されている。
 
 
 
未来博士3分間コンペティション2021(オンライン)オーディエンス募集!
シュプリンガー・ネイチャー特別協賛・協力スピーチ大会 博士課程後期学生の夢の実現を応援します
 
 
 
 
Scientific Reports : 2021年版ジャーナル・ファクトシートをアップデート
Scientific Reports は、世界で6番目に引用されているジャーナルであり、2020年には540,000を超える引用があり*、政策文書やメディアで広く注目されています。今年6月に発表になった本誌のジャーナル指標2020も掲載しています。
 
 
 
 
Chemistry Community Blog : A better catalyst for the silicon industry
An interview with Dr. Yumiko Nakajima about her recent paper in Communications Chemistry